ベンチャー企業エンジニアのメリット・デメリット6選
2024.05.05
就職や転職活動を行う際の指標として、企業の規模や社風で決める人も多いのではないでしょうか。
中でも、ベンチャー企業への就職は「経営者目線で仕事に関わりたい」、「責任のある仕事をして成果を出したい」という人におすすめの就職先です。
本記事では、ベンチャー企業に在籍経験のある筆者が、ベンチャー企業のエンジニアとして就職する場合のメリット・デメリットについて解説します。
ベンチャー企業エンジニア職の特徴
はじめに、ベンチャー企業におけるエンジニア職の仕事の特徴について解説します。
幅広い業務範囲
ベンチャー企業では従業員数が少ないため、少数精鋭で業務を遂行する必要があります。
中小企業や大企業では複数人で行う業務も、ベンチャー企業では1名もしくは少人数で実施しなければなりません。
例えば、アプリやシステムに関する業務を担当する際は、設計・開発からその後の運用まで担当する必要があります。
さらに、企業によっては営業と同行して顧客折衝を行う場合や、社の方針を決定する幹部会等にエンジニア部門の代表として出席することもあります。
このように、ベンチャー企業では大企業や中小企業では経験できない、多種多様な業務機会が与えられます。
▼大企業エンジニアの業務範囲についての詳しい記事はコチラ
大手企業エンジニアのメリット・デメリット6選 – ミラプラ (mirapura.com)
スピード感のある仕事
ベンチャー企業での業務は、スピード感を要求される場面が非常に多いです。
これは企業の意思決定が速いことや、他社との差別化として短納期で開発をコミットする場合があるためです。
例えば大企業の場合、仕事の契約から納品まで2ヵ月ほど掛かるプロジェクトでも、ベンチャー企業の場合は2~3週間で実現させる場合があります。
そのため、時には通常の勤務時間を超えて作業をしなければならないこともあります。
その代わり、このような働き方は結果として大きな達成感であったり、高い報酬が支払われる等のメリットもあります。
自由な社風
ベンチャー企業の魅力の一つに、自由な社風があります。
服装をオフィスカジュアルとしている企業や、社員の意見を積極的に取り入れる企業、他にも猫などの動物をオフィスで飼っている場合もあります。
このような自由な社風は、社員の幸福度の向上に繋がります。
加えて、直接的なコミュニケーションが奨励されることで、全員が企業のビジョンや目標についてより深く理解し、一体感を持って取り組むことができます。
筆者が勤めた企業では、フルリモート勤務が許可されており、地方に住みながら働くことができる環境でした。
また、月に1度は無条件で休暇が得られる福利厚生もあり、年間休日数も130日を超える優良企業でした。
ベンチャー企業エンジニアのメリット
ここからは、ベンチャー企業で働くエンジニアとしてのメリットについて解説します。
裁量権が大きい
ベンチャー企業は、個人の裁量権が大きいという特徴があります。
小規模な組織であるため、一人一人の意見や判断が製品の質やプロジェクトの方向性を左右することがあります。
例えば、社長の許可さえ取ってしまえば、予算を使って自分の利用したいソフトウェアやツールを導入することが可能です。
このような自由度が高い環境では、自分のアイデアを実現しやすく、創造性やイノベーションを発揮する絶好の機会となります。
幅広い知識が得られる
ベンチャー企業では、特定の専門分野だけでなく、製品開発のあらゆる段階に関わることが求められるため、幅広い知識と経験を積むことが可能です。
大企業では部署やチームメンバーとの会話しかありません。
一方ベンチャー企業の場合は、営業やマーケティング部、人事部とコミュニケーションを取る機会が多くあります。
これにより、ビジネス全体の流れや知識を理解することができます。
課題解決力が身につく
ベンチャー企業で働くエンジニアは、高い課題解決能力が必要です。
ベンチャー企業ではマニュアルや手順書などが整備されておらず、自分のスキルのみで業務を行います。
そのため、日々エラーやバグに直面することになり、自然と課題解決力が身につきます。
筆者の場合は、会社の全プロジェクトのインフラ部分を私一人で対応していました。
大変でもありましたが、エンジニアとして大きな成長をすることができました。
今現在、フリーランスとして活動できているのもベンチャー企業時代があったからだと考えています。
ベンチャー企業エンジニアのデメリット
次に、ベンチャー企業で働くことのデメリットを解説します。
仕事のやり方が自己流になってしまう
ベンチャー企業では、マニュアルや手順書が整備されておらず、また過去のナレッジなども少ない環境です。
そのため、エンジニアは自己流で仕事をしてしまう傾向にあります。
この方法は、個人としては効率的な方法であるかもしれませんが、他のエンジニアや業界一般から見ると逸脱したやり方になってしまいがちです。
例えば、コードの記述方法にはベストプラクティスと呼ばれる「最も優れている」と評価される手法が存在します。
これを無視して記述することで、アプリの応答性や脆弱性などに影響を及ぼす可能性があります。
また、別企業へ転職した際も、仕事の勝手が掴めずにミスや失敗を犯すかもしれません。
ライフワークバランスが取りづらい
ベンチャー企業においては、プロジェクトの期限や成果主義という面から長時間労働に陥りがちです。
また、仕事に熱心な社員・管理職も多く、平日・休日関係なしにチャットツールで議論が行われることもしばしばあります。
これにより、仕事とプライベートのバランスを取る事が難しくなり、生活の質が低下する可能性があります。
筆者の場合は、休日・夜間の監視・障害対応が社内ルールで明文化されておらず、対応人員もいないことから、暗黙の了解で私が対応することになっていました。
そのため、土日であっても社用携帯を肌身離さず持っておく必要がありました。
倒産するリスクがある
ベンチャー企業は、倒産するリスクがあるという点もデメリットの一つです。
一般的に、ベンチャー企業が5年後も存続している可能性は1割~2割程度とされています。
実際、筆者の所属している企業も倒産しました。
IT企業の場合、システム開発案件を受注した場合は数百~1千万円規模の売上が出ます。
しかし、その支払いは契約時の一時金と、納品時にその残り全額といった契約が一般的です。
そのような事情もあり、私の企業は資金繰りが悪化し、多額の負債を抱えて倒産となってしまいました。
企業にもよりますが、倒産後は再度就職活動をする必要があります。
年齢や家庭の都合により再就職が難しい人もいるでしょう。
そのため、ベンチャー企業への就職には倒産リスクについてしっかりと考慮しておかなければなりません。
筆者の場合は、取引先企業のご厚意で雇用先を斡旋して頂きました。
しかし、斡旋先企業との雇用契約関連で折り合いが付かず、現在はフリーランスとなった経緯があります。
まとめ
本記事では、ベンチャー企業のエンジニアとして働く場合のメリットやデメリットについて解説しました。
ベンチャーで働くことの大きな魅力は、裁量権の大きさ、幅広い知識の獲得、そして高い課題解決力を身につける機会にあります。
一方で、業務のやり方が偏ってしまう点や、ワークライフバランスの維持の難しさ、そして企業の倒産リスクも重要な考慮事項です。
これらのポイントを理解することで、自身のキャリアにおいて最適な選択を行いましょう。