【IT転職】倒産するベンチャー企業の兆候・特徴とは?
2024.07.12
IT企業、特に創業から5〜10年以内のベンチャー企業は、革新的なサービスを提供する一方で、経営が不安定なケースも少なくありません。
資金調達の困難さや市場競争の激化により、倒産のリスクが高まることがあります。
実際、ITベンチャーに勤めていた筆者も、ある日突然倒産してしまいました。
本記事では、実際に筆者が体験した、倒産するITベンチャー企業の兆候や特徴を解説します。
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倒産するITベンチャーの兆候と特徴
ITベンチャー企業が倒産する前には、共通する兆候や特徴が現れます。
それぞれ見ていきましょう。
新規顧客開拓の強行
ITベンチャーの経営状況が悪い場合、新規顧客開拓に過度に力を入れる傾向にあります。
これは、IT企業特有の収益モデルが影響しています。
IT企業におけるシステム・アプリの受託開発では、マイルストーンによる支払い方式が一般的です。
システムやアプリ開発は1プロジェクト当たり500万円〜1,000万円と高額な契約となります。
その際、着手金としてプロジェクト開始時に総額の3割〜5割程度、納品時に残りの金額を受領します。
資金繰りが悪化している企業は、現金の確保が求められるため、新規プロジェクトの着手金を利用して何とか凌ごうとするのです。
筆者の会社でも、突然社長が「営業アポを1日100件目標で!」という号令がなされました。営業チームへのプレッシャーが大きくなり、結果としてモチベーションやパフォーマンスの低下に繋がってしまいました。
このように、新規顧客開拓の強行は一見すると企業成長のための積極的な戦略に見えますが、実際には多くのリスクを伴い、倒産の兆候の一つとして警戒すべきです。
炎上するプロジェクトが多い
倒産が近づいているITベンチャー企業では、プロジェクトが炎上することが増える傾向にあります。
炎上とは、プロジェクトの進行が大幅に遅れたり、品質が低下して問題が頻発したりする状態です。
これは、リソースの不足が主な原因です。
倒産間近の企業では、上述した通り、売上を確保するために能力を超えた数のプロジェクトを受注することがあります。
結果として、各プロジェクトに対するリソース配分が不十分となり、スケジュールが滞ります。
筆者の会社では、1人のプロジェクトマネージャー(PM)が6〜7つのプロジェクトを掛け持ちするほどの状況に陥っていました。
このような状況下では、すべてのプロジェクトを満足にディレクションすることが難しくなり、結果としてサービスの納期遅延や品質低下を招いてしまいます。
このように、炎上するプロジェクトの多発は、倒産のリスクを高める重大な兆候となります。
社長の行動に変化が
倒産の兆候として特に注目すべきは、社長の行動の変化です。
会社の定例ミーティングを欠席するようになる場合や、不自然な外出が多くなることがあります。
社長の態度が急に変わることもあります。
これまでフレンドリーであった社長が、急に厳しくなったり、感情的な反応を示したりする場合、経営上のストレスが原因である可能性が高いです。
給与支払いが遅れる
給与の支払いが遅れることは、企業が深刻な経営危機に陥っている兆候です。
企業における給与の支払いは最も重要な責務であり、違法行為です。
この支払いが滞る場合は、非常に危険な状態であると認識した方が良いでしょう。
実際、筆者の企業も倒産2か月前に1日だけ給与の支払いが遅れることがありました。
当時は、「経理の誰かがミスでもしたのだろう」くらいにしか思っていませんでしたが、今思うと倒産の兆候だったのかもしれません。
福利厚生の廃止
福利厚生の廃止や削減も、倒産の兆候として見逃せないポイントです。
福利厚生は社員の満足度や働きやすさに直結する要素であり、その削減は企業の経営が逼迫していることを示しています。
福利厚生の廃止・削減は、経費の削減に繋がりますが、企業の魅力度も下がり、人材の確保や獲得が難しくなるというデメリットもあります。
ただし、上述したような給与の未払いと比べると、倒産の直接的な兆候とは言えません。
それでも、企業の経営状況を見極めるためには、こうした兆候を注意深く注視するようにしましょう。
倒産の噂話が流れる
企業内で倒産の噂話が流れることもあります。
噂話は必ずしも事実に基づいているわけではありませんが、その背景には何らかの不安や疑念が存在していることが多いです。
このような噂は、経理や管理職から流れます。
また、プロジェクトの中止や状況からエンジニア側も倒産を察知することもあります。
倒産の噂話が流れることは、企業の経営が不安定であることを示す重要な兆候です。
社員はこれを見逃さず、状況によっては転職の準備を始めるとよいでしょう。
会社が倒産した場合は?
企業が倒産すると、社員や関係者にはさまざまな影響が及びます。
ここからは、会社が倒産した場合の対応方法や影響について解説します。
勤務状況や給与明細のデータを取得しておく
会社が倒産する場合は、すぐに勤務状況や給与明細などのデータを取得しておくようにしましょう。
倒産後は社内メールや共有フォルダへのアクセスができなくなります。
そのため、必要な書類やデータは事前に個人のデバイスやクラウドストレージにバックアップしておくことが重要です。
また、失業保険や今後の就職活動に必要な情報も含まれるため、迅速に行動することが求められます。
これにより、倒産後の混乱を最小限に抑え、スムーズに次のステップへ進む準備を整えることができます。
失業保険がすぐに受給可能
通常の自主退職の場合、退職後3か月は失業保険を受けることができません。
しかし、企業が倒産した場合は、社員は失業保険をすぐに受給することが可能です。
そのため、ひとまずは生活に困窮することはないため安心しましょう。
ただし、倒産の仕方によっては失業保険に必要な離職票の受け取りができないことがあります。
これは、離職票関連の業務をする人事部も解雇されているためです。
倒産後は弁護士による対応となるため、事前に連絡先や離職票の発行スケジュールなどを確認しておきましょう。
また、未払賃金立替払制度による未払い分給与の支払いや解雇予告手当が貰える場合もあります。
こちらも会社側の弁護士や労働基準監督署を通して忘れずに申請しておきましょう。
転職に悪影響はない
企業が倒産した場合、社員は次のキャリアに不安を感じることが多いですが、実際には転職に悪影響を及ぼすことは少ないため安心してください。
これは、倒産は企業の経営上の問題であり、個々の社員の能力やスキルとは直接関係がないためです。
特に、困難な状況下での問題解決能力や、チームワーク、プロジェクトマネジメントの経験は、新しい職場でも高く評価されます。
倒産を経験したことが、むしろ強みとなるケースも少なくありません。
また、倒産を経験した社員には、同業他社からの引き合いが増えることもあります。
取引先との関係がある場合は、取引先からの紹介や推薦を受けることが可能です。
同業他社にとっても、倒産した企業の社員は即戦力となるため、積極的に採用されることが多いです。
効率よく転職活動を行いたい場合、転職エージェントの利用もおすすめです。
転職エージェントは、転職希望者と企業をつなぐ専門家であり、適切なアドバイスやサポートを提供します。
また、エージェントは業界の動向や企業の内部事情を把握しており、一般には公開されていない求人情報も持っていることが多いです。
下記では、採用担当者が選ぶおすすめの転職エージェントサイトを紹介しています。
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まとめ
ITベンチャー企業が倒産する際の兆候や特徴、そして倒産後の対応策について解説しました。
倒産の兆候としては、新規顧客開拓の強行や炎上するプロジェクトの増加、社長の行動の変化などが挙げられます。
倒産の兆候を早期に察知し、勤務状況や給与明細のデータ取得などを行い、次のステップに向けた準備を進めていきましょう。