【体験談】会社が倒産したらどうなる?流れや注意点を解説!
2024.08.09
皆さんは勤めている会社が倒産したことはありますか?
私はあります。
勤めていたベンチャー企業が、ある日突然倒産し即日解雇になりました。
企業が倒産した場合、行政手続きや元顧客とのやりとり、給与計算などさまざまな手続きが必要です。
本記事では、会社が倒産した際の社員がやるべきことや、注意点について実体験を基にご紹介します。
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会社が倒産!社員はどうする?
会社が倒産した場合、社員として何をすべきか、どのような手続きが必要かを知ることが重要です。
この知識を身に着けていると、倒産後の生活やお金の工面などの不安を軽減することができます。
ここでは、解雇予告や失業保険、未払賃金立替制度についてご紹介します。
30日前までに解雇予告が行われる
私の場合、当日まで会社が倒産することは知りませんでした。
いつも通りの業務を行い、18時の定時が来たため日報を書いていた時に全体のSlackで社長から下記連絡が来たのです。
社長「突然ですが、本日をもちまして会社は倒産します。社員の皆さんは全員解雇となります。これ以降は弁護士が対応します。」
社員全員が寝耳に水、私はなぜかニヤニヤと笑いがこぼれていたことを覚えています。
会社が倒産する事実を知り、色々調べたところ、下記のような法律が定められていました。
会社が倒産する場合、労働基準法に基づき、会社は社員に対して少なくとも30日前に解雇予告を行う義務があります。
もし30日前の予告ができない場合、会社はその期間に応じた解雇予告手当を支払う必要があります。
(参考:労働契約の終了に関するルール)
解雇予告手当は、「解雇予告されていない日数 × 3か月間の平均賃金」で計算されます。
私の場合は、「30日間 × 月給」分を受けられる計算でしたが、会社側も払える資金がなく、数年経った今でも解雇予告手当は支払われていません。
裁判も可能ですが、受け取れたとしても月給分のみであるため、そのためだけに労力を費やすことは現実的ではありません。
ほぼ泣き寝入りの状態となっています。
もし事前告知なく解雇された場合は、解雇予告手当の有無について確認しておきましょう。
離職票・源泉徴収票の受け取り
倒産が決定した後は、離職票と源泉徴収票だけは必ず受け取りましょう。
会社が倒産すると、総務や人事担当だった社員も対応できなくなります。
速やかに会社が契約している弁護士や税理士に連絡し、対応を依頼することが重要です。
これらの書類がない場合、失業保険や次の就職時に影響が出ます。
私の場合は、当時の総務担当が善意で社員分の離職票・源泉徴収票の対応をしてくれました。
また、書類の受け取り後は、解雇月と源泉徴収票の収入金額に注意が必要です。
源泉徴収票は解雇月の給与を「見込み(受け取れる前提)」で計算します。
そのため、もし当月分の給与が会社から支払われない場合、収入金額に差分が出ることになるのです。
翌年の税金や確定申告の計算が合わなくなるため、給料日に給与が支払われていないことを確認した後に、源泉徴収票の再発行を依頼しましょう。
私の場合は、企業側の破産管財人弁護士に依頼することで再発行できました。
失業保険の手続き
離職票を受け取ったら、次に行うべきは失業保険の手続きです。
ハローワークに離職票を持参し、失業手当の申請を行います。
倒産による会社都合退職の場合は、失業手当(失業給付金)の受給資格が決定した日から7日間の待期期間の後、翌日から支給されます。
支給額は保険加入期間や年収により異なります。
私の場合は総額で50〜60万円ほど支給されました。
ただし、受給には定期的にハローワークに通い、求職活動の状況を報告する義務があるため注意しましょう。
社会保険・住民税の手続き
失業後は、社会保険や住民税の手続きも必要です。
特に健康保険の継続手続きは重要で、会社の健康保険を任意継続するか、国民健康保険に加入するかを選択する必要があります。
住民税の支払いも継続されるため、市区町村の窓口で手続きを行います。
また、会社都合による退職・失業の場合は、国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度があることを知っておきましょう。
私の場合は、半年の納付免除となりました。
これにより、資金面の負担を軽減することが可能です。
未払賃金立替払制度の申請
会社が倒産した場合、未払いの賃金が発生することがあります。
私の場合も倒産前月分と当月分の給与が未払いの状態でした。
このような場合には、未払賃金立替払制度を利用が可能です。
これは、会社が支払えなかった賃金を政府が立て替えて支給する制度です。
申請には、労働基準監督署への申告が必要で、賃金台帳や出勤簿などの証拠書類を準備する必要があります。
これにより、倒産による未払賃金の8割程度を受給することができます。
ただし、申請から給付までは期間を要します。
また、申請する労働基準監督署は、会社の本籍地の地域で申請する必要があります。
私の場合はフルリモート勤務で本社からは地理的に離れていたため、最寄りの労働基準監督署から郵送で申請しました。
申請から6か月ほどで未払い賃金の振込がありました。
このように、企業が倒産した場合、さまざまな手続きが発生します。
私の場合は、未払い金や失業保険などで総額100万円を超える受給・回収ができたため、これらの手続きをしっかりと対応しましょう。
倒産時の注意事項
続いて、倒産後の手続きや取引先との連絡等に関する注意事項をご紹介します。
倒産後は会社側も私たち社員を守ってくれません。
自分のことは自分で守れるように準備をしておきましょう。
給与明細・出金履歴などの資料収集
会社が倒産した際、まず行うべきは、給与明細や出金履歴などの重要な資料の収集です。
これらの資料は、未払賃金の立替払制度の申請や、税務手続きにおいて必要となります。
なぜ倒産後第一に行うべきかというと、時間が経つとこれらの書類を収集できなくなる可能性があるためです。
最近では企業もクラウド型の給与計算システムや勤怠システムを採用しているため、クラウドシステムの契約を切ると、取り出しが不可能となります。
実際、私の会社でも倒産から2日後には各種システムのアカウントが削除されてしまいました。
上記以外にも、会社のHPや解雇通知の連絡書類、Gmail、Slackの履歴なども取得しておく必要があります。
これらの資料は、倒産後なるべく早くスクリーンショットやcsv出力などして保管しておきましょう。
貸与物の返却
倒産が決定すると、会社から貸与された物品(例えば、パソコンや携帯電話、IDカードなど)を速やかに返却する必要があります。
これらの物品は会社の資産であり、適切に返却しない場合、法的な措置が生じる可能性があるのです。
ただし、倒産の場合は受け取り側も会社にいないため、送付場所には注意しましょう。
私の場合は、社員の1名が善意で1日だけオフィスで受け取り対応をしてもらいました。
倒産を知らない取引先との接触に注意する
会社の倒産に際して、取引先との対応にも注意が必要です。
取引先に対しては、倒産に関する情報を伝えずに倒産している場合があります。
そのため、会社と連絡が取れないと取引先から社員個人に連絡がきます。
無用なトラブルを避けるために、自己判断での接触は控えるようにしましょう。
私の会社の場合は、取引先に何も連絡していなかったようです。
もちろん、開発途中のプロジェクトも、運用していたサーバーも全て放置です。
倒産1週間〜1ヵ月間は、取引先が会社のオフィスに訪問してくる、Slackから鬼のように連絡がくる、社長の自宅を突き止めて訪問するなどがあったようです。
まとめ
本記事では、会社が倒産した場合の手続きや注意点について実体験を基にご紹介しました。
解雇予告から未払賃金の立替払制度の申請まで、各ステップを理解し、適切に対応することで、倒産後の生活を安定させることができます。
また、倒産時の注意事項を把握し、トラブルを未然に防ぐことも重要です。
ITベンチャーの倒産はよく聞く話でしたが、まさか自分の企業が倒産するとは思っていませんでした。
ベンチャー企業へ入社される方は、これらの情報を活用し、万が一の事態に備えておきましょう。