大手企業エンジニアのメリット・デメリット6選

大手企業エンジニアのメリット・デメリット6選

大手企業で働くことは、給与や福利厚生・最先端の技術に触れられるなど、非常に魅力的なキャリアの一つです。
しかし、大手企業で働くには特有の課題やデメリットもあります。

本記事では、エンジニア職にスポットを当て、大手企業で働くことのメリット・デメリットを、大手IT企業経験者の筆者が解説します。

大手企業エンジニア職の特徴

はじめに、大手企業におけるエンジニア職の特徴について解説します。

自社・他社の調整業務

大手企業におけるエンジニアの業務は、プロジェクトの多くで自社内外の多用なステークホルダーとの調整業務が必要です。

エンジニア職と言えば、コーディングやシステム設計・運用保守のイメージが強いですが、大手企業の場合、自社で内製せずにアウトソーシングしている場合が多くあります。
そのため、エンジニア職でもアウトソーシング会社との認識合わせやスケジュール管理の業務に時間を割かなければなりません。

筆者の場合は、週に4日はエンジニアとしての業務をしていましたが、内1日は朝から定時まで打合せが入っているような状況でした。

マニュアル遵守

大手企業では、業務プロセスの標準化が徹底されており、日常の業務は厳格なマニュアルに基づいて実行されます。

これは、大手企業の場合ジョブローテーションや採用人数の多さから、部署異動が頻繁に行われるためです。
業務をマニュアル化することで、ヒューマンエラーの防止や脱属人化が期待でき、サービス品質を一定に保つことが可能です。

しかし、マニュアルに縛られすぎると、創造性や柔軟な問題解決が求められる場面での対応が難しくなることもあります。
また、マニュアル通りにしていれば業務の遂行が可能なため、エンジニアとしてスキルが身につかないと感じる人もいるようです。

分業制

大手企業では分業制が徹底されており、それぞれのエンジニアが特定の専門分野に集中することで、全体の効率を高めています。
例えば、開発部門、運用部門、保守部門と区分されており、それぞれの部署によって業務分掌が明確に決まっています。

企業によっては、その部門の中でもさらにアプリやシステム毎に部署が区切られている場合もあります。

大手企業エンジニアのメリット

ここからは、大手企業のエンジニアとして働くことのメリットについてご紹介します。

学習機会が多い

大手企業では福利厚生が充実しているため、学習の機会を多く得ることができます。
定期的な社内研修はもちろん、時間・場所を問わずに学習できるeラーニングシステム、有志で集まる勉強会など、様々な学習環境が用意されています。

また、資格取得支援金や手当など金銭面のバックアップもしてくれるため、学習のモチベーションも維持し易い環境です。
最新技術のキャッチアップが重要なエンジニアにとって、最適な学習環境と言えるでしょう。

高品質なサービスを提供するノウハウが学べる

大手企業では、お客様へ高品質なサービスを提供するため、高い品質基準やルール管理が徹底されています。
これにより、エンジニアは製品やサービスの品質保証のプロセスやリスクマネジメントを学ぶことが可能です。

筆者は大手企業と中小企業の両方で働いた経験がありますが、大手企業の場合は1秒以上のサービス断も許容しないサービス設計・マニュアルが徹底されていました。
一方中小企業の場合は、そのような取り決めがなく、管理職のさじ加減・感覚で日々の業務を遂行していました。

業界トップクラスの業務を行うことは、自身のスキルアップに大いに役立つと言えるでしょう。

大手企業エンジニアのデメリット

大手企業で働くことはメリットばかりではありません。
ここでは、大手企業エンジニアとして働くデメリットについてご紹介します。

仕事の責任が重い

一つ目のデメリットは、仕事の責任や影響範囲が大きいことです。
大手企業のサービスは、サービス規模も大きく、その重圧は精神的な負担に繋がることも少なくありません。

筆者は運用保守部門で働いていたのですが、夜勤の場合は自社が設置している日本全国のITインフラをたった1人で監視していました。
さらに、仕事でミスをした場合は何千人、何万人というユーザーに影響が及びます。
いつ発生するか分からない障害に対して、上記のプレッシャーを感じながら、1日仕事をしなければなりません。

このように、大手企業のエンジニアはそのサービスやシステムの規模から責任が重く、ストレスを受けやすい環境にあると言えます。

調整や承認などの雑務が多い

大手企業エンジニア職の特徴でも述べましたが、関係各所への調整や承認作業が多く発生します。
これらの雑務により、本来のエンジニア業務を遂行できない場合も多々あります。

例えば、筆者が所属していた企業の承認作業においては、実施したい作業日の1週間前までにマニュアルの作成・チームメンバーのWチェック・システム申請・管理職への説明が必要です。
また、過去実績の無い作業(新規作業)では、1か月前にレビュー・審査会を開催しなければなりませんでした。

そのため、エンジニアの仕事が好きな人にとってはこれらの雑務を苦痛と感じる人もいるかと思います。

習得できるスキルが限定的

大手企業でエンジニアとして働く場合、分業制のため特定の技術領域に縛られることが多いです。
これにより、一部のスキルにおいては深い知識が得られますが、同時に多様なスキルを習得することはできません。
また、アウトソーシングを行っている部署ではエンジニア職でありながら、ほとんどITに関わる機会がない部署もあります。

筆者の場合は、所属部署に関する知識以外は全く学べませんでした。
見積もりの取り方や発注・検収のやり方や流れ、管轄外のITに関する知識はゼロと言っても過言ではありません。

実際、私は大手企業を退職するまでGitやウォーターフォール開発、CI/CDなどは聞いたことすらない単語でした。

周囲の才能や学歴に圧倒される

大手企業では多くの場合、日本や世界からトップクラスの人材が集まります。
このような環境は刺激的でありながらも、自己評価が低下する原因となることもあります。

筆者の場合は、周りの同僚は旧帝大・MARCH卒は当たり前、さらに海外経験があり中国語や英語も堪能、学生時代に企業経験がある人や本を執筆・販売している人たちと肩を並べて仕事をする必要がありました。
また、管理職を見ても東京大学・大阪大学出身の人が多く見受けられました。

これらの人は仕事にも熱心な場合が多く、社内全体で競争的な雰囲気が醸成されます。
このような環境は、ワークライフバランスを重視している人にとってはつらいと感じる人もいるはずです。

まとめ

本記事では、大手企業に勤めるエンジニアのメリット・デメリットについて解説しました。
大手企業でのエンジニア職は給与や福利厚生が充実し、最先端の技術に触れられるなど魅力が多いですが、仕事の責任が重く、雑務が多い、特定のスキルに縛られるなどのデメリットも存在します。

さらに、職場環境も活気があり、人によってはプレッシャーとなる場合もあります。
以上の点を踏まえ、自身のキャリアや目標と照らし合わせて、適切な企業選びをすると良いでしょう。

mirapura

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